全ルートクリアしたのでレビューしていきます。
シリーズ作品は未プレイです。
プレイ時間は1周目の一人旅ルートで10時間弱。
2週目以降ちありルートクリアまではスキップ使いながらでも10時間くらい。
3週目以降攻略を見て、総計で30時間くらいだと思います。
プチまとめ
- 偶然に任せた旅がしたいなら超おすすめ
- 文章を書いたり読むのが好きなら更に楽しい
- 女のケツを追っかけたいならちょっとハード
総評 7.3/10
期待する部分がどこかによって評価は大きく変わる内容でした。
旅ゲーとしては超楽しかったです。
偶然に任せたバイク旅。
岐阜の各地で写真を撮り、記事を書く。反応を貰う。そしてさらなる秘境へ。
意欲的で唯一無二なシステムは好感が持てます。代替えタイトルがないです。
反面、『旅要素のあるギャルゲー』という認識でプレイすると作業感が強いです。旅要素と潰しあってます。
天球カメラを駆使した360°視点の背景は没入感が高く、十分に旅の疑似体験を楽しめました。
写真も360°視点で取ることができて、写真の撮り甲斐があります。
ただし、360°視点は静止画背景に比べると明確に解像度が落としてあり、そこは少し残念でした。とは言ってもデータ量の問題だと思うので致し方なしだとは思います。
また旅ゲーといっても、基本はテキストタイプのアドベンチャーの延長なのでトラックシミュレーターの様な、アクション性のある自由度をイメージしていると肩透かしを食らうと思います。
またADVとしての文章量は比較的多めです。
年号や偉人などの情報量が多く読む事が苦手な人は要注意。
観光名所を周り、写真を撮って資料を読み、想いを馳せる工程がハマればじっくり楽しめると思います。
問題はギャルゲーとの噛み合わせ。
これがめちゃくちゃ悪くて、どっちつかずで中途半端な要素が混在しているように感じます。
実は、旅の上での偶然の出会いはヒロイン以外にも多数あり、こちらはリアルな旅のアクシデントっぽさがあり、とても良かったです。
反面、ギャルのケツを追いかけようとするとほぼノーヒント。かなり作業感が増すので要注意です。ほとんどのプレイヤーが攻略情報を見るか総当たりになるバランスでした。
ギャルゲーを楽しめるカジュアルさを取るか、偶然に任せるストイックさを優先するか取捨選択すべきだったと思います。
記事の作成システムにも問題あり。
ヒントの無さはメインミッションであるコンペのランキングにも同じことが言えます。
ある程度総当たりで評価のいい記事の情報知った後でないと、意識的にランキング上位を狙うことが難しいバランスです。
初周で上位を狙う事がほぼ無理ゲー。難易度バランスは若干古臭いイメージです。
記事に書く内容は記事タイトルでしか選択出来ず、たくさん回るとどのスポットのタイトルかすらわからないことも多く煩雑になりがち。
同時にアップする写真を選択する時に写真を拡大して確認ができないのも地味な不満点でした。
とにかく記事アップのUXが不親切。
評価へのフィードバックも薄く、結局総当たりで当たり記事を探すしかない。
色々やってる内に傾向は見えてくるんですが、そこそこ周回を重ねた後なので旅の新鮮さは消え失せた後。
ある意味リアルなんですが、ライターのリアル職業体験を体験したいゲームなのかは甚だ疑問です。
人を選ぶ、というゲームは良くあるんですが、選んだ結果、残っている人が居るとは思えない各要素の噛み合わせの悪さ。
既に上がっているネット上のレビューをいくつか読んでみましたが、旅ゲーが好きな人と、旅ゲーの体裁でギャルゲーをやりたい層は恐らく被ってないです。
ライティング業のシビアさも相まって、全要素を楽しめる人はほぼいないのではないかと思います。必然的にどれかを我慢しつつ楽しむ形になってしまっています。
旅かギャルゲーかライティング、どこかに特化したバランスに寄せた方が完成度、満足度は上がっていたように感じます。
本当にギャルゲー要素が必要だったのか?
各ヒロインのシナリオは面白いですが、そこに至るまでのハードルが異様に高くてヒントがかなり薄いです。
最初に会うヒロインですら向かうといっていた場所と全く違う場所にいる上、序盤の数日でフラグが折れるので最初の周回でヒロインに会えるかどうかは完全に運。
かといって、しらみ潰しに攻略してまで見るストーリーがそこまでの労力に見合う劇的な内容かというとそうでもないです。身も蓋もないですが、攻略見た方が満足度高いです。
基本的に攻略を見ながらゲームをするのをお勧めしてないんですが、正直、ギャルゲーパートに関しては旅のゲームシステムと根本的に食い違ってる印象。
旅の中での偶然の出会いを演出するためのヒントの無さであろう事は推測できるんですが、それであればドラマチックな物語をヒロインを軸に用意している事に問題があります。
一人旅のエンディングがシナリオとして見応えがあればそういうバランスもADVの多様性としてアリですが、これがかなり人を選ぶ哲学的な内容。お世辞にもエンタメとは言えないもの。答えがなくメッセージ性はいまいち薄い。
またヒロインともひとり旅とも別軸のイベントもあります。街中で観光客や町の人々から声をかけられたり、キャンプ場でキャンプ仲間とご飯を一緒にするイベントがランダムで発生します。
このイベント群は旅の偶発性や一期一会のエモさを上手く表現していて素晴らしい内容だと感じました。
ただし、モブキャラは完全なランダム仕様なので、周回してくると全て見終わってしまいスキップするしかなくなるんですよね。
個人的にはこのモブキャラとのイベントとヒロインとのイベントをはっきり差別化せず中間位の深さを持たせたバランスであれば最高でした。
ゲームのウリである以上仕方がないですが、攻略対象と銘打たずに、『たまたま出会いを重ねていたら仲良くなれるキャラもいる』程度の設計なら作業感も薄く、偶発性に心踊ったんじゃないかと思います。
初回のおすすめは垂ルート
とはいえ前述の通り、ヒロインのシナリオ自体はそこそこ濃いめのエピソードが多く、充実度はあります。
中でもおすすめは垂。
伝承に詳しく各地で観光ガイドをしてくれます。主人公の薀蓄一人語りに比べて、個人の解釈や考察も交えた説明をしてくれるので頭に入ってきやすいです。
そのため、観光を楽しみたい人こそ、まず垂ルートに進むことをおすすめします。
彼女との遭遇場所は序盤さえ捕まえてしまえば割と分かりやすい方なんですけど、会話の選択肢間違いによる攻略失敗が非常にダルいので、攻略情報見ちゃった方がいいです。
このゲーム全体に言えるんですけど、会話選択肢は考えてもわからない内容だし大体1発アウトなのでバッド選択肢を選ぶメリットが一つもない。
旅の偶発性と全く噛み合ってないんで、会話の選択肢でフラグを立てるシステムは捨てるべきだったと思います。遭遇スポットを探すだけで十分難しいし。
良かったポイント・微妙なポイント
良かったポイント
◎観光スポットを自由に巡る気ままな旅
◎リアリティのある旅先での偶然の出会いが多い
◯写真を撮って、選ぶ充実感
◯360度視点で展開する、ギャルゲーとしては新鮮な絵作り
微妙なポイント
×あまりにノーヒントすぎるシステム
×総当たり要素が強く、ギャルゲーやコンペ優勝という目標に対してプレイスタイルを能動的に選択出来ない
△記事作成システム周りの不親切さ
△詰め込みすぎな観光情報のテキスト量と、主人公の多すぎる自分語り