クリアしました。
期待しているものには十二分に応えきってくれる、良いゲームでした。
概要・あらすじ
4人の幼馴染が突如巻き込まれたデスゲーム。
そしてプレイヤーによって気まぐれに配られる4枚のカード。
カードの配役によって決まった死刑囚を、見殺しにして脱出するか、それとも全員で抗うか。
残り時間が僅かな中で4人はどんな結論を出すのか?
ーーーというデスゲームを観察するノベルゲーム。
一つの組み合わせが終わると何故か時は巻き戻り、別な組み合わせの配役で物語を順番に見ていく事になります。全ての組み合わせを見た先にどんな結末が待っているのか...?この空間は一体なんなのか...?
ジャンル・ゲーム性
至ってオーソドックスなビジュアルノベル。
システム的には超普通だけど、デスゲームの開始時に配役が書かれたカードをプレイヤーが選ぶ事ができて、見たい組み合わせのシナリオを見る事ができます。
配役の組み合わせは12通り。
配役の組み合わせによってシナリオは大きく変わってきます。
結局は全通り見る事になるんだけど、この些細な介入性のおかげで参加感がうまく出てます。
キャラ同士の関係性が見えていない序盤の方では、「次はこの組み合わせだとどうなるんだろう?」と、好奇心を煽る事に成功しています。
またゲーム主催側として感情移入させられる形になるので、残虐なゲームを愉しむ方向に自然と誘導されていきます。これが取っ付きづらい狂ったシナリオへの愉しみ方の示唆になっております。
ただこの配役チョイス、介入が出来るようでキャラが思わぬ暴走を始めるのでほとんどのシナリオで思った通りのゲーム展開に全然ならない。
展開を操作できるようでいて結局はヒロインたちに振り回されるという、ままならない介入の塩梅が非常にバランスが良く面白いと感じました。
シンプルだけどゲーム性はとても良いです。
インターフェイス周りはストレスなく快適。ノベルゲーとしてほしい機能は一通り揃っているので、システム面では最後まで引っかかりなく遊べると思います。
ボリューム
クリア時間は10時間弱程度。
シナリオが12話あって各45分くらいです(ボイスを飛ばさずに進めた場合)。
飛ばすと30分くらい。クリアするだけでトロコンできるタイプのゲームです。
よかったところ
顔芸!顔芸!そして顔芸!めくるめく表情の万華鏡◎
とにかく表情差分は圧巻の変化量。
密室の1シチュエーションものとは思えないくらいビジュアルの情報量は多いです。
このゲームに興味を持った人は例外なく期待している要素である、美少女たちによるドロッドロの罵り合いがこれでもかというほど特盛りマシマシ調整になってるので十二分に楽しめるはず。
恐怖・引き攣り・ゲス顔・怒り・憎しみ・煽りに喘ぎ、果ては失神顔まで...万華鏡(カレイドスコープ)と言うタイトルが一切の誇張では無いレベル。様々な表情をガンガンに見せてくれる4人のヒロイン。ここに期待しているならマジでお腹いっぱい堪能できます。
デスゲームに巻き込まれた4人は幼馴染なので普段は仲良し4人組で通ってるんだけど、付き合いが長い分わだかまりの根が深く、それがデスゲームを通じて爆発するんですよね。
四者四様の爆弾を抱えていて全員が信頼関係の片思いなので実は見事に噛み合ってないのが各シナリオを通じて見えてきます。相関図を書きながらプレイするとより関係性が見えてきておすすめです。
シナリオはプレイヤーの選択で順番が変わるので関係性の見え方が変わってくるんだけど、シナリオの順番によっては「お前ほんとにさっきのキャラと同一人物か???」ってくらい見える側面が変わっていくのでさながら闇の万華鏡を覗き込んでいるよう。
必然的に次のシナリオで別の顔を見たくなってくる気持ちにさせられます。
迫真のボイスの熱量◎
表情バリエーションに加えて特筆すべきはヒロインの各声優の演技。
この面(つら)でそこまでやっちゃうんかってレベルで悪ぅ〜い演技してて、シナリオがヒートアップしてくるともはやボイス上の格闘技の様相。
4人のヒロイン全員の熱量がほとばしってて楽しいです。爽快感すらある。
ヒロインみんな良かったけど個人的には、風華役の茜屋日海夏さんが特に良かった。
割とリアルめな性格の悪さを滲ませる清楚系女子の演技からブチギレヤンキー言葉までのグラデーションが楽しい。
微妙なポイント
後半の胃もたれ感△
前半で興味の赴くままに好きな配役のシナリオを楽しんだ弊害もあるだろうけど、後半に進むほど似たような展開や明かされる関係性に被りが出てきます。テンポが停滞してちょっと中だるみを感じるシーンが増えてきます。
その上、罵詈雑言の取っ組み合いが毎回なのでラーメン二郎の最終局面みたいなキツさが数回続く感じ。どっかで味変して欲しかったです。
選ばれるシナリオの順番によっては台詞回しが変わっているなど、細かく調整されている事はわかったんですが、それがテンポの良さは繋がっていない様子。後半にはもう一工夫欲しかったな〜というのが正直なところでした。
シナリオ順が自由な事への弊害なのであれば、一部のシナリオ順を固定にする方式でも良かったかなと思います。もしくはシステム的なところで目先を変えるようなギミックや、変則的なシナリオが後半に少しは欲しかったです。
オチの尻すぼみ具合△
一部ミステリー的な仕掛けがあったのは悪くない趣向だったけど、総合的なオチはなんとなく中盤で推察できるし、別に難しいわけでもなく驚きは特にないです。
序盤のどうしようもないとっ散らかった惨状から考えると、収まるところに収めた物語として綺麗な収束の仕方だなとは思いました。
ただ若干テーマの説明がくどくて説教臭さが出ちゃってるのがもったいなかったです。テーマやメッセージ自体は楽しめたんですが...そんなに何回も言わんでも流石にみんな分かるよ〜。さらっとやってほしかったな〜。
まとめ 8.2/10 ゲロカスにしてカレイドスコープ、タイトルに偽りなし
「美少女同士の苛烈な罵り合いが見たい」という尖った娯楽性にこれ以上ない形で応えきってくれるいいゲームでした。
情のない残酷な殺し合いではなく反転した愛憎の方なので、ドロッドロな足の引っ張り合いって感じです。こういう女子グループ実は結構多いと思う。
ちなみに読後感は意外なほど悪くないです。
ノベルゲーとしての土台の作りは丁寧で快適です。
ゲーム性に驚きはないものの、コンテンツとしての楽しさは間違い無いので気になっている人には今すぐ買って間違いなしとオススメしておきます。