南極ゲーム観測所

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【読書】日本語が読めないクソリプおじさんはどこからくるのか? 〜AI vs.教科書が読めない子どもたち

教科書が読めない中高生が増えているという見出しで話題になった本書、

読んでみました。

【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち

前置き・読んだ動機

ツイッター定期的に話題になる日本語が読めない日本人のレスバトル的なあれそれについてずっと興味があったので気になってたんですよね〜。

 

え、そうは取らないでしょ?!みたいな受け取り方で齟齬が生じている現状はバズったツイートのリプ欄を見れば日常茶飯事なのはツイッターを使っている人なら誰でも共感してもらえると思います。

ああいう意図的でない曲解がどう発生するのかにずっと興味がありまして。なんか日本語使ってるけど同じ言語じゃないみたいな気持ち悪さがあるんですよね。

というか他人事なんですけどあまりに噛み合ってなくて頭痛くなってくるの僕だけ…?え、大きなお世話…?

 

そういう齟齬について理解するヒントがないかな〜と思って読んでみました。

 

概要

本書はそもそもどういう本かというと、

前半部分が「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトを立ち上げた方が著者によるAIの研究過程を記したものです。

本書はこのAI「東ロボくん」を賢くさせる事に力を尽くしてきた著者によるAIの限界と、AIに仕事を奪われないために何をどう学ぶべきか、というのが要旨。

で、その能力に限界のある筈のAIに仕事を代替されるかどうかのラインが文章の読解力というわけ。

後半は具体的なテストのデータと共にどのぐらい中高生の読解力がヤバいかっていう解説になってます。読めば分かりますが、今現在の中高生の読解力が悪いっていうより、おそらくは日本人が全体的にヤバい

 

僕は先述の通り、後半の「教科書が読めない子どもたち」の部分が読みたかったんですけどAIに関する解説もめっちゃ面白いです。むしろこちらが専門家のようで、すごくイメージがしやすい。

 

教科書が読めないって意味がそもそも分からないって人は多分教科書が読める人なんだと思います。

僕も多分そうだと思いたい。

 

 

「AIヤバい」の誤解

AIがヤバい、仕事を奪われるって事で持て囃される昨今ですけど専門家からすると実情とは大きくかけ離れている模様。

本書では「シンギュラリティは来ない」と断言されています。

 

現在の延長線上にはコンピュータの処理能力が幾ら上がろうとも持て囃されている様なシンギュラリティは存在しない。では、どうして存在しないのかという事が分かりやすく述べられています。

ざっくりいうと現在のAIは意味を理解せず、統計・確率的な手法で1番当たる答えを正解としているだけ。

例えばグーグル翻訳でそれっぽい意味で翻訳できているのは、それぞれの単語の意味を理解した上で文章を訳しているわけではなく、統計的に1番多くの人がそう言ってるからこれ!みたいな、統計データで確率の高いものを提案しているイメージみたいです。

実際に意味を理解しているのではなく分かっている様なフリをしているのが現状のAIとのこと。

 

本書の前半部分ではこういう実際のAIの仕組みについて、論理・確率・統計という数学的手法とともに分かりやすく解説されています。

 

読解力がないとヤバい

で、当てずっぽうでそれっぽい内容を確率的に当たるように答えを返すだけの現在のAI。

それでもサイコロで降った答えを回答する確率よりは当たるわけです。

逆にその程度の確率でしか問題に答えられない人材なら大量・高速に対応出来るのでAIにやらせた方がいい。

後半はそういった、問題の意味を理解していればさほど難しくないはずの問題を、読解できないことによりサイコロ程度の正答率しか獲得できない中高生のデータが並んでます。

そのテスト結果を見て、問題の読解力がないと人生を左右するというのが主張内容。

どうやらネックになっているのが語彙力の欠如による読み飛ばしの問題。

現場の先生によると漢字の読み間違いも凄まじくなっているという記述もあります。

 

確かにスマホだと読めなくても漢字使えちゃいますしね。最近はみんなテレビを見なくなってニュースの言葉遣いを耳にする機会が減ったのもデカイんじゃないかな〜と個人的には思います。

 

感想まとめ

  • サイコロを振る程度の回答しかできないならAIの方が使いやすい
  • 読解力がないのは語彙力のなさからくる読み飛ばしが原因
  • 読解力の能力の差に有意な原因は特定出来てない
  • 語学に精通している人からの見解も見てみたい

 

読解力の無さは知らない単語を飛ばしているからではないか、と言う推察は面白かったです。

悪意を持った揚げ足取りを除く、訳わかんない曲解クソリプも読み飛ばしが原因なのかも...と想像すると得体の知れない気持ち悪さが軽減されるような気がしました。日本語使ってるけど別の言語話してるのかな...って思うレベルで話通じない人いますからね...。

こういうツイッターで言葉が通じない人の見ている景色に対するヒントが見たかったので取っ掛かりにはなった気がします。

 

ただ読解力に関する見解はやや推測レベルで止まっている事象が多くて、語学に精通した国語の先生の見解もさらに聞いてみたい気がします。(著者は数学者)

あと本書では結局、読解力の能力差を生み出す有意な要因が特定出来ていないです。

その上鍛え方もはっきり提示できていないです。著者が提唱するRST(読解力テスト)を受けたところでどう対策するのかは未だ未開の地と言った印象。(2018年の本なので状況はアップデートされているかも知れませんが)

 

AIの基本的な仕組みやどう言った人材がAIで代替えできるのかは実績や体験を伴った分かりやすい解説でした。でも読解力に関する考察は仮説・推察止まりで、鵜呑みにするのもどうかな〜と思ってしまいました。でも内容自体はとても興味深かったです。

特にAIの働き方に関して、コロナの影響によりテレワーク中心になったと言われているYouTubeで誤BANが相次いでるのを照らし合わせてみると実感しやすい気がしますね。まさに意味を理解していないって感じ。

ただこのAIの作り自体も様々な見地からの解説を聞いてみたいですね。企業によって全然作りが違う可能性もありますし。

 

著者の続編の本もあるみたいですが、それよりも言語の専門家による読解力について書かれた本があれば読んでみたいなぁと思いました。

 

でもこれ、ぶっちゃけ率直な感想を言うと結局持って生まれた能力による遺伝では...?

もっと身もふたもないこと言っちゃうと貧困が能力の低さに相関しているという言及はあったので、親の収入と遺伝で大体の能力は決まっちゃうんじゃねって気はしています(個人の感想)。勿論マクロな視点の話なので個々人の努力に意味があるかどうかはまた別の話だと思いますけども。