南極ゲーム観測所

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【ゲーム考察】オープンワールドの見えない壁問題 ~見えなくするには最終的には山か海しかない

なんかトンチみたいなタイトルになっちゃった。

先日拝見したこちらの記事を見て面白いな〜、と思ったので自分なりに考えてみたいと思います。

kentworld-blog.com

 

 

見えない壁って、なに?

「見えない壁」問題とはそもそも、「オープンワールドで見えない壁を見ると興醒めする」っていう批評の際に根強くあるネガティブ意見の事。

 

個人的には全く共感出来ない意見で、それはそもそも見えない壁が存在しないゲームなんて存在しないから。

 

一体何を行ってるんだ???って感じ。わがまま言っちゃあいけねぇ。

そんなゲームどこにあるんだよ。

壁のないゲームなんて存在しないだろ?

 

 

 

いやあったわ。

 

 


 

マイクラが。あとノーマンズスカイ

 

 

 

 

まあこの様に。
オープンワールドっていうよりエンドレス自動生成じゃない限りは、もはや見えない壁って必ずどこかに存在します。見えないだけで。

なぜなら人が作りしものなので。リソースは絶対に有限です。

 

強いて言うならあとは惑星丸ごと生成するタイプとか考えられますが、一般的ではないですよね。


評価を受けているオープンワールドゲーですらその域には達していません。 

 

つまり評価されてるゲームとはいえ、必ずしも見えない壁を排除できてるわけじゃない

でもあからさまな透明な壁があると根強い叩きどころになりやすい印象。

壁で醒めた。って意見、オープンワールドもしくはそれに準じたジャンルだとまあまあ目にします。

 

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評価されてるゲームはどうしてるの?壁ってないの?

そんなことないです。上記のような特殊なゲーム以外は。

では評価を受けているオープンワールドゲーはどうやってプレイヤーの目を逸らしているのかってところが本題です。

 

ちなみに僕はフィールドの果てがないと無性に不安になるタイプなので、むしろ壁がどの様になっているのかを確認できると安心します。

どういう仕組みで成立してるのか理解できないと怖い。なので進んで壁を見に行くタイプ。広すぎるオープンワールドはかなり辛い。

そんな色んなオープンフィールドの壁を見に行く病気を活かして、上手くやっているゲームは実際のところ、どんなパターンが多いのか考えて見たいと思います。

 

要素を分けて考えてみる:フィールドとイベント

問題を分かりやすくするために要素を切り分けて考えてみます。

制限というのはリソースが無限でない限り必ず存在するので、物理的なものとそれ以外で考えてみたいと思います。

フィジカル(物理的)な要因とそれ以外の要因。

分かりやすくいうとフィールド的(物理的)な制限か、イベント的な制限。

 

フィールド的な制限のある壁

結論から言うと、フィールド的な要因に限っていえば山か海しかないと思います。

どういうことなのか1つずつ見ていきましょう。

①山:山に囲まれた盆地

一番メジャーなのが山に囲まれた盆地ですよね。

ひと昔前の「世界一周できないタイプの和ゲー」ってこれが一番多かった気がする。

物理的に見えてる壁。登れない急斜面。

でもこれ…物流どうなってんだろう?って考えだすと止まらないヤツです。

現実的な所を考察すると途端に穴があるのが最大のデメリット。

ポケモンとかめっちゃ妄想したな~。オープンじゃないけど。あんな閉じた世界で経済どう回ってるっていうんだ…?

時オカとかこれだった気がする。ホライゾンとかメタルギアTPPもこれかな~。全部じゃないけど。
メタルギアは限定的にヘリで壁を越えられるのが上手い見せ方でした。

箱庭っぽさを出すにはいい手法なんですけどね。

とにかくフィールドが鬼の様に広ければ、実はそんなに気にならない方法でもある。

 

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②島:海に囲まれた島

最近ではマーベルスパイダーマンが海に囲まれてるパターン(マンハッタン島)。

あとゼノブレイドクロスもそう(大陸と呼べる広さだったけど究極的には島)。

実際には沖合の一定部分に壁があってそれ以上外に出れない様になってるんだけど、周囲に比較対象がないので壁がない様に見えるってのがポイント。露骨な限界を見せないで済む。

これのいい点は活動のフィールドが島だとはっきり明言されているので、わざわざ何にもない退屈な海にプレイヤーの意識が向きにくいところ。

これの応用で砂漠verもあります。ニーアの砂漠フィールドがこれ。

実際には壁があって進めてないんだけど、激しい砂嵐と付近に相対的な位置を比較するオブジェクトがない事により、まるで果てのない砂漠を歩き続けるかの様な演出をしていました。引き返すとあっさり帰れるっていうね。

 

NieR:Automata 2B(ヨルハ二号B型) DX版 完成品フィギュア

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③谷:断崖絶壁の谷に囲まれている

海パターンより応用範囲が大きいのが、孤立した崖の上。

フィールドが山。周囲は谷。海でも適用可能。

海って②じゃん。と思いますがこちらは海で泳げないパターンのこと。

要するにフィールドの外に飛び出てしまうと死が待っている様な状況。

落ちることがそもそも出来ないか、落ちると縁にリスポーンするのが特徴。

最近のうまい例だとSEKIROとか。

SEKIROの舞台は山頂に建てられた国。唯一の下山道への大手門は戦時という状況により閉じられていて、他の橋は全て落とされている。崖下に落下すれば無理やり下山できるように見えるが落ちれば死ぬであろう高度。

崖下のグラフィックはちゃんと用意されているので、山の周囲を含めたオープンなフィールドに見えるけど、飛び出た時点で死亡判定かリスポーン対象になって戻される。

もしくは崖で止められる。この場合、完全に壁が見えてるけど目前に飛び出せない理由があるので制約ではなく親切設計に見えるのがポイント。


例えば舞台が島でも主人公が泳げない場合は同様。死んでリスポーン。

アーカムナイトがこれ(泳げないのでリスポーン)だった気がする。あ、ちょっと自信ないかも。要検証。

 
あとラピュタ的な浮島が舞台でも、島から落ちる事が出来なければこのパターンですね。

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE Official Artworks

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フィジカルでない制限

一方フィールド以外の制約としては、プレイヤー操作以外の介入ってところに集約します。

あえて定義するなら、門番・主人公の自制・強制操作あたりでしょうか。

 

①門番

門番とは要するにNPCですね。

外の世界に繋がる場所はあるものの、封鎖されていて通行止めを食らうイベント。

これはリアリティを保ちつつ物理的な壁を感じさせない点がメリット。

しかし主人公では太刀打ち出来ないという不自由さを感じるデメリットがあるので、設定に違和感がない事が重要
ex.主人公の立場が弱い存在だとか(強ければ門番を倒せないのが不自然なので)、
要するにストーリー上で自由ではない事に納得感・理由づけがあるかどうか

またリソースの都合上、広大なフィールドの境界全体に門番を配置する訳にはいかないのがポイント。

つまり、大抵の場合には意識的に演出として配置される壁だと思います。

 

②主人公の自制

主人公の自制とは、「この先に行くのはやめておこう...」など主人公がいきなり自分を律するパターン。

これ汎用性は高い手法ですが、”ドラクエのいいえループ”に近い、製作者からの介入を感じるため、あんまりいい方法じゃない気がします。なので最近あんまり見ないかも。

物理的な壁が見えないパターンなので困った時には取り敢えず配置できる便利方式だけど、製作者の影を感じる没入感の欠如というデメリットは大きい

前述の門番と同様、ストーリーで説得力のあるモラル上の理由や、合理的な理由がないと一気に制作者のゴリ押し感が強くなります。
ex.主人公がモラルを守る側のジョブである、フィールドを離れると危険が生じる(電波が届く範囲にいないと首輪が爆発するとか)

 

③強制操作

強制操作はその名の通り、プレイヤーの操作を離れて自動的にフィールドに戻されるパターン。分かりやすい例がフライトシューティングで強制的にロールバックしてしまうスターフォックスとか(これもオープンちゃう)。確か一部のステージでスパイディはこれやってたな。グラビティデイズもこのパターンだったかな。
ワープによる強制送還もこれに当てはまります。

飛行中の操作ならまだマシな方で(というか飛行中の場合は壁に当てる動作が強烈に違和感を生じるので実は選択肢がない)、歩行操作でコレをやられると没入感のスポイルが生じてしまうのは避けられない。
操作無効時間が長いとなおさら。境界がだだっ広い平原とかだと多い気がする。

 

【PS4】GRAVITY DAZE Value Selection

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【PS4】Marvel's Spider-Man Value Selection

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まとめ

こうして羅列してみると見えない壁は、やっぱりフィールド上の制約で賄われた方が没入感の欠如はないように見えますね。

 

プレイヤー以外の介入が働くのはストーリーや設定的な意図を持って、意識的に行わない限り極力排除するのがベターに思います。

 

となると結局はマップの作りで際を意識させない作りが重要そう

意識させないとはすなわち、壁際の仕組みを想像しにくい複雑さを持っている=想像を確かめるという発想に至らないマップ、かどうか。

 

もちろん上で上げたのは分かりやすい極端な例なので、実際の最近のゲームは崖だったり海だったり門番だったりをロケーションによってコロコロ変えていく方式が一般的です。うまーく巧妙に壁は隠されているので、壁際確認マンでない限りあまり意識しない人も多いのではないでしょうか。

 

最近だとデスストなんかは実は割と露骨な壁があるんですけど、ゲームに夢中で壁を確かめるという発想を持った人って実は少ないんじゃないかなーなんて思ってますがどうでしょうか。

なかなか良く出来てんな〜って思えるので暇な人は確かめてみてください。

たまには壁際を歩いてみるのもゲームの仕組みに触れられて楽しいかもしれないです。

 

以上、現場の壁際確認マンからでした。

 

まあもっとスペックの進化が進めば、そのうち星を丸ごと生成するなんてゲームも増えてくるのかもしれないですが、当然作り込みは散漫になるでしょうし、それが必ずしも入り込みやすい要素になるとは思えないです。結局は作り込まれたマップの、隠蔽された意図を感じる瞬間が楽しいので。デスストがいい例じゃないです?壁なんてあっても楽しいものは楽しい。

今回の記事、思い付きで書き始めた割には結構まとまってるのでは…?
ご意見とかあればコメントお気軽に書いて頂けると嬉しいです。