ごめんなさい。四八(仮)の開発者と聞いて完全にネタ枠として購入した事を白状します。いやネタゲーには違いないんだけどよかったです 。面白かった。
年末年始企画 セールからおもしろインディーを探そうの旅 第6弾です。
バックナンバーは「企画モノ」カテゴリーから飛んでみてください。次回でラストです。
それではレビュー行ってみましょう。
送り犬
セール価格495円。
定価は990円です。
プレイ時間5時間ほど。
概要
元はアプリゲームの移植で、小説としても販売されている本作。
実在する送り犬を題材としたホラー短編であり、選択肢によって分岐するオーソドックスなノベルゲーム。
主人公は大学1年性の女の子。かわいいけどちょっと野暮ったさが残る個性的な見た目をしています。彼女が巻き込まれる怪奇や恐怖体験の数々を綴る物語です。巻き込まれる物語は分岐により様々なバリエーションあり。
ジャンルは、後述するサウンドのこだわり的な観点からもアドベンチャーで括るより、サウンドノベルと言った方が適当だと思う。
これぞサウンドノベル!!
効果音のクオリティ◎
BGMもただの環境音から一歩味付けを感じる個性があって好みですが、特筆すべきは効果音のクオリティ。セーブ音や決定音など機能の違うアクションに対してしっかり固有の音が付いており、グッと世界に引き込まれます。ホラー感もあり耳触りのいい音。環境音も豊富。
ホラーノベルと銘打たれていますが、このサウンド面のさりげないクオリティは昨今言わなくなった「サウンドノベル」と言って差し支えないと思います。
また口パクのアニメなど細かいところのこだわりがいい味出てます。
口パクするとボイスないのかよ、って言われそうですが、ボイスを入れなかったのは(予算的な都合かもだけど)テンポを考えると英断。
強いて言えば背景スチルがもう少し使い回し感のない枚数までバリエーションあれば完璧だったとは思いますが、致命的なものではないし価格帯的に相応だとは思います。
分岐豊富なストーリー
まずタイトルである『送り犬』という実在する妖怪の伝承について語られてから始まる本作。
選択肢による分岐は、行動の変化であり得たかもしれない世界が描かれるのではなく、ホラーらしく全く別の設定が披露される形*1のマルチエンドなので展開自体は整合性に縛られず、結構自由。
どのくらい自由かっていうと最初に見たバットエンドが、友人の合コンの誘いを断ってパチンコ屋にフラッと入った結果、どハマりしてパチプロになるエンドだったくらい自由。
節子、それあかんパターンや。
ほら~、いわんこっちゃない。でもある意味幸せ…?
これ以降はちゃんとホラーするものの、あからさまにおかしな選択肢を選ぶと主人公が急に残虐になったりと超展開が多数あり、分岐によっては語り部がザッピングするルートもあってなかなか飽きないです。このあたりの自由な超展開は往年のサウンドノベルの名作・かまいたちの夜を彷彿とさせます。
全体のボリュームはコンパクトなものの、分岐の数も結構多く、色々なエンドを回収していくのが楽しかったです。
ちゃんとホラー展開もあるのでご安心を。
UI/UXが快適◎
メニューからセーブ・ロード・オプション・マニュアル・タイトル画面移行がすぐにアクセス出来る快適性の良さがいいです。ワンボタンで出来るクイックセーブがあるのも素晴らしい。
当たり前の事じゃん、と思うかもしれませんがこれが出来てないゲームのなんと多い事。インディーならいざ知らず、大手作品のお話を読むのがメインなアドベンチャーですら出来てないタイトルはザラにあります。必然的にメニュー周りが快適なだけでプレイ体験はずっと印象が良くなります*2。
この辺の快適性ってアダルト系のノベルゲームではガンガン洗練されていってる部分なので家庭用の大手デベロッパーがアドベンチャーで出来てないのは単純な怠慢だと思ってます。
あ、あとSwitchの右ジョイコンだけで操作が完結するのも好印象です。
余談だけど、片手ジョイコンだけで完結するとゲームっていうかリモコン握ってテレビ見てるような不思議な感覚になりますよね。やっぱコントローラーの感触ってプレイ感覚に大きく影響するのかなぁ。
まとめ 8.3/10 ニッチな魅力満載の良質ホラー短編
- 良質なサウンド面
- すこぶる快適なUI
- ネタゲーとしても楽しめる大量のバッドエンド
サウンドの質が良く、ストーリーも安定したB級感が楽しめ、キャラクターもニッチな魅力でクセが強い、という大手でやれない方向性。
お手本のような質の高いインディーゲームと言った感じ。
ボリューム的には詰め込めば1日で一通りやれるくらいのちょうどいいボリュームで個人的には大変満足感がありました。
個人的にB級ホラーが大好きなので非常に楽しめました。
B級ホラー好きな同志にはおすすめ。
全エンド見たら感想追記するかも。
全ルート回収後の追記:
メインルートの終わり方が結構あっさりだったので寂しさはありましたが、お話自体は丁度いいボリュームで楽しめました。
ザッピングするサブキャラルートが結構好きです。メインはホラーとして怖いとは思わなかったけどまどかの話は中々怖くて良かった。
小説版はこちら。安いし手っ取り早く雰囲気を試してみるならアリかも。
同作者の別シリーズ。送り犬も入ってるっぽい。