南極ゲーム観測所

南極基地に引きこもるシロクマの運営するブログ。インディーゲームのレビューを中心にエンタメ&サブカル 。純粋に体験してみて面白かったものや注目のコンテンツを紹介&共有します。ブックマークすると買うゲームが増えます(重要)

【年末年始企画】Magic Scroll Tactics ★超オススメ★ 〜Switchのおもしろインディーを探す旅 その4【Switchセール】

人生山あれば谷ありってもんよ。

これめっちゃ当りです。

 

年末年始企画 セールからおもしろインディーを探そうの旅 第4弾です。

バックナンバーは「企画モノ」カテゴリーから飛んでみてください。

 

 

Magic Scroll Tactics

セール価格720円。

ぶっちゃけ定価の1200円でも全然コスパは良いと思います。
すごくいいゲームだと思うので色んな人に触ってほしい。

Steamでも販売されているのでプラットフォーム選びの参考に。
Switch版は携帯で遊べる強みがあるけど、Steam版はサントラをDLCで購入可能というメリットもあります。お好みでどうぞ。

f:id:Upolaris:20200104034459j:plain

あらすじ

なんらかの脅威により住民まるごと避難が完了したとある島。そこへ救援要請を受けて先遣隊として乗り込んできた召喚師の主人公。

何かの使命を帯びて島に残った巫女と主人公は腰の重い応援勢力を待たずに島を襲う勢力に対して一転攻勢を仕掛ける事にするが...。

 

注目ポイント:高低差にフューチャーしたストラテジー

というあらすじで始まる本作はターン性ストラテジー。本作最大の特徴は視点が見下ろし型ではなく横スクロール視点である、ということ。

直線軸での動きしかないので単純に思えるかもしれないが、本作は高低差の重要度が他の同ジャンルのゲームよりも大きくフューチャーされている。

高低差の概念自体はファイナルファンタジータクティクスやタクティクスオウガなどの古典的な見下ろし型ストラテジーでもあった概念だけど、それが戦局を左右するレベルで重要視されているのが本作の独特な部分。

具体的な数値で言うと高所からの攻撃は相手の防御50%を無視出来るので火力が段違いにアップ。しかも低所からの攻撃は命中率が露骨に下がるので風下からのゴリ押しはかなり厳しい。位置取りをかなり重要視したゲーム性と言えます。

 f:id:Upolaris:20200104034951j:plain

 

横スクロール戦と舞台設定とのマッチング◎

位置取りが重要となる本作だけど舞台は人が暮らしていた小さな島の街。

建物の屋根に登ったり、樽に登って高所を奪い合うというバトルは戦争というよりも、島の各地をフィールドにした少数のゲリラ戦という規模感。そうした視点の独特さが舞台設定に非常にマッチしてて、システムの面白さだけでなく物語への没入感を増す効果にも一役買っている。


f:id:Upolaris:20200104034921j:plain
 

かわいくて我が強い、魅力的なキャラクター◎

前述の独自性だけを見てて、あまりビジュアル面を気にせず選んだんだけど、キャラクターが可愛くて魅力的。サモンナイトとか日本一のシミュレーションにあったような昔のシミュレーションジャンルを思い出す、ある種の少女漫画っぽさを感じる柔らかいキャラクターデザイン。

その見た目とは裏腹な命のやり取りが展開するシビアな物語がギャップがあって双方引き立って合っている。

キャラ付けもそれなりにクセが強くて我が強い、個性を感じる登場人物が多いので、必要最低限のストーリーテーリングだけど吸引力がしっかりある。

 

f:id:Upolaris:20200104035117j:plain

 

歯切れよくノリのいいBGM◎

こちらもキャラデザと同様、いい意味で今風じゃないゲーム音楽らしいゲーム音楽と言った作風。軽くて歯切れのいいBGMが多い。ストラテジーって画面が固まりがちなのでBGMによるテンポの維持は非常に重要だと思う。シンプルに燃える楽曲が多いお陰で通してやっててもダレない。たのしい。

音周りに関してはサークル制作とかインディーじゃないと出にくいような濃い色があってとてもいいです。

 

UIや操作性周りの良し悪し

このジャンルって情報量が多くなりがちなので欲しい情報に少ない手数でリーチ出来ないとか、最悪の場合見たい情報が見れないなんてことも良くあるのでストラテジージャンルではここは重要。*1

バトル中は全体的にスッキリした画面が多く非常に操作がしやすい。見たい情報へもアクセスしやすい。どちらかというと余計な情報を削ぎ落としているシステム設計面が優秀なのかも。

逆に準備中のメニュー画面はやや不便なポイントが多い。でも致命的なレベルでは全然ないです。

スキル周辺に関しては成長システムにて後述。

 

難易度やマップの仕様について

メインストーリーマップは一度限りで、後からリプレイは出来ない一本道仕様。

詰まり防止策としてフリーマップが存在しているので、安全に進めたい人はレベル上げしてからメインストーリーに進めば楽に進行可能。

でも難易度自体はそこまで高いわけではないので歯ごたえが欲しければフリーマップを縛るのもいいかもしれないです。前半はそうでもないですが、後半牙をむきます(具体的にはステージ3後半辺りから。フリー縛りは結構至難)。

 

f:id:Upolaris:20200104035435j:plain

 

成長システム

レベルが上がるごとにAP(アビリティポイント)が獲得出来るのでそれをスキルツリーの中の覚えたいスキルに割り振って習得していく形。セットしたスキルは経験値を貯めて習熟ゲージを満たすと使用出来る。

習得後のスキルでもAPは割り振りつづける必要があるので、時間をかけてスキルをいろいろ取れば何でもかんでも使い放題、とはならない。方向性を絞って育てていく必要がある。また、より多くのスキルを効率よく習得しようとすると、獲得済みのスキルをいったん手放す必要がある。極端にスキル獲得に割り振ってしまうと当然キャラは弱体化してしまうという、どこまで新しいものに手を出すかという取捨選択のバランスが良く出来ている。

スキルツリーはジョブごとに異なり、ジョブ内でも成長の系統がいくつかあるのでカスタマイズ性は結構高め。

 

一方、獲得できるスキルの補足説明が割と説明不足なものが多いのは残念。

一応それぞれ一言説明は書いてあるけど、効果範囲の規則性が分かりずらかったりステータスアップのパッシブスキルの計算順番が検証しないと分からないとか、細かい部分でもうちょっとヘルプが充実してればなぁ…と思うポイントは多い。

とにかく色々習得して試していけという事なのかもしれない。

なので結局色々取ってみて試してみる事になるんだけど、フリーバトルとシナリオバトルでスキル取得に必要な習熟ポイントに大きく差が有る。

つまり順調な人はシナリオをガンガン進められてサクサク進んでいくんだけど、スキルビルドが上手くいかないと、スキル獲得に期待が出来ないフリーでレベル上げを強いられるという作りになってしまっている。ベースのテンポがかなり軽快なので尚更ちょっと残念なポイント。

そういう意味で、ある程度このジャンルの文脈に慣れていて「あー、あの系統のスキルね」と想像できるプレイヤーの方が楽しめるだろう。

 

まとめ 8.0/10 捻りがあるのはアイディアのみの王道濃厚ストラテジー

  • 一捻りあり歯応えのあるオーソドックスなストラテジー
  • 横スクロールはお話の規模感にもマッチ
  • かわいいキャラクターと尻上がりに熱くなるストーリー
  • ザ・ゲーム音楽的な燃えるBGM◎

ラ、ラスボスが倒せねぇ…。でも評価的にはほぼ動かないと思うので点無しでとりあえず投稿します…。クリアしたら点数付けるね。以下総評です。クリア後下記に追記

触り心地がよく、欠点も少なくこのジャンルに興味がある人はぜひぜひやってもらいたいです。FE風花雪月の黄色が好きな人は確実にいける方向性。

ストラテジーにあまり触れたことがない人でも比較的とっつきやすいシステムなので、キャラクターに興味が湧けば触ってほしいです。後半はちょっと難しいけど、レベル上げで突破できる範囲なので。

今ではメインストリームではなくなってしまったゲーム音楽らしいゲーム音楽があり、展開もコテコテだったりする。

いい意味でインディーらしい、コンパクトながらも濃い空気感が楽しめると思う。

非常におススメ。

 

2020/1/4追記部分:

クリアした~!誰だネットでクリアは簡単って言ったのは!!これだからワンジャンルを極めてるガチ勢の言う事は当てにならないんだぎりぎりぎり…(君が下手なだけでは?)

言っても、フリークエストという救済措置があるから詰むことはないんですけどね…。可能な限りレベル上げしたくないタイプなのがアダになったぜ。

でもクリアしても評価的にはほぼ変わらないです。めっちゃおすすめ。

 

 

 

 

*1:FE風花雪月の唯一の弱点がUI面のアクセス性の悪さだと感じてるので、そのくらい出来のいいゲームでも上手くまとめるのは難しいのだと思う。