南極ゲーム観測所

南極基地に引きこもるシロクマの運営するブログ。インディーゲームのレビューを中心にエンタメ&サブカル 。純粋に体験してみて面白かったものや注目のコンテンツを紹介&共有します。ブックマークすると買うゲームが増えます(重要)

【バイオハザード ヴィレッジ考察】ウィンターズ家の悲劇はまだ終わっていない?絵本とミア、エンディングにおける2つの違和感について【ネタバレあり】

f:id:Upolaris:20210527022726j:plain

バイオハザード ヴィレッジ凄いゲームでした。

エンディングの喪失感から醒めないです。

 

クリアしてからも周回しながらストーリーについてずっと考えてました。

周回するうちに、エンディングの演出について違和感を覚える点があったので整理しておこうと思います。

結構突飛な上にモヤモヤする仮説なので「いい話だったな~」という感想のままにして置きたい人は見ないほうがいいかも。

 

当然全てネタバレありです。ご覚悟を。

 

 

ミランダの目的を整理する

違和感の内容の前にまず、ミランダの目的と行動から整理しておきましょう。

ミランダの目的

愛娘エヴァを菌根のネットワークから蘇らせる

→これは作中での本人の発言や残されたノートから明らか。

 

本作中における行動

序盤・中盤

四貴族が邪魔なのでイーサンと潰し合わせる

最終盤

4つに分けたローズのフラスクを用いた儀式によって、菌根からエヴァを復元する

 

フラスクを4つに分ける云々は、仲違いしないための抑止力として四貴族側が言い出したことであり(モローの日記2より)、この工程はミランダにとってぶっちゃけどうでもよかった筈です。

f:id:Upolaris:20210527022758j:plain

 

ドミトレスクとの電話でも、イーサンより儀式を優先するような発言が合ったように取れます。

ローズを手にした今、四貴族の事はもはや邪魔だとすら思っていたはず。
村で襲撃されていたイーサンを見て、これ幸いとばかりに老婆に化け、ドミトレスクのいる城へ向かわせようとします。以降も四貴族と衝突するように度々唆してきます。

ちなみに最初の襲撃で不自然にライカンやウリアーシュが引いていったのも、これが理由でしょう。ハイゼンベルグもライカンたちを使役できますが、城の地下でのセリフが初対面だと取れる発言でした。襲撃を引かせたのは彼の仕業ではないでしょう。

つまりイーサンを誘導し続けたのはミランダの独断です。

 

上記のことから四貴族が壊滅した時点で、 つまりハイゼンベルグを倒したタイミングでお役御免とばかりにイーサンの前に姿を現わすわけですね。

圧倒的な力でイーサンの心臓を抜くのを見て「全員自分でやれたんじゃねーの?」って疑問が湧きますが、イーサンの身体に興味があったのもまた事実なんでしょう。四貴族との戦いの中でイーサンを観察し、そのタネを見抜いた時点でイーサンに興味を失くしてしまったという流れかと思われます。

またはハイゼンベルグをある程度の脅威と感じていたので、イーサンとぶつけた方が楽そうだと考えたのかもしれません。

 

上記の行動から類推すると、エヴァとの新しい人生を見据えて自分の過去を知る村人は始めから全員抹殺するつもりだったのではないかと思います。

ハイゼンベルグの発言「まだ生き残りがいたとは」から、村人の殲滅命令が出ていたようです。ただしそこに四貴族も含まれていると理解していたのはハイゼンベルグだけでした(ドナとモローも薄々感じていたとは思われますが)。

 

ルイザの屋敷脱出後に直接ユリアンを抹殺するシーンがありました。

マザーミランダが直接手を下すのはココだけです。

あのシーンだけ、何でわざわざ直接姿を現したのか疑問だったんですが、村人は全員葬る気だったと考えると、想像できそうです。

あの時点で彼が村の最後の生き残りだったから、撃ち漏らしを回収しにきたってとこだと思います。もちろんついでにイーサンの戦意を煽る意味もあると思います。

 

ここまでが最終決戦までのミランダの行動と目的でした。

整理するとこうなります。

行動→四貴族を含めた村人の抹殺

目的→エヴァの復活

 

こう見ると終盤に至るまで、完全にミランダの思惑通りに進んでいるように見えます。イーサンの心臓抜きまでは完璧。

しかし結果としてミランダはイーサンに敗れ、ローズはイーサンが取り返します。

 

じゃあどうしてイーサンに敗れてしまったのか?

一体、ミランダにとって何の番狂わせがあったのか?が焦点になってきます。

 

これに関して2通りの推測ができそうです。

推測1:ローズに力を奪われたため全力で戦えなかった

推測2:イーサンが戦ったミランダはニセモノ(敗北は想定通りだった)

 

推測1:ローズに力を奪われたため全力で戦えなかった

まず推測1

ローズに力を奪われた

素直に考えるとこれが1番しっくりきますよね。

特異菌の力で再び立ち上がったイーサンを見ても大して動じるわけでもなかったので、返り討ちにできる算段だったんでしょう。

ところが実際はローズの力が強すぎて、自身の力を奪われてしまいイーサンが勝利したというシナリオ。

さらに言えば、心臓抜きのあとふたたび立ち上がるとは思っていなかった節もあります。イーサンの肉体の再生力があまりにも強力だったと言ってしまえばそれまでですが、デュークが介入した可能性も考えられます。

デュークって訪れるタイミングで様々なキーアイテムを手にとっているんですが、カドゥを持っている事があるんですよね。

彼がイーサンの心臓部にカドゥを打ち込み、無理やり肉体を動かしたのであればミランダにとって想定外の事態なので辻褄も合います。

上記から、ミランダはローズ(とデューク)の想定外の介入で負けてしまったというのが

 

余談ですけど抱き抱えるイーサンの顔をローズは思いっきり見ているのでローズはこの情景を理解しているのかな〜なんて。実ははっきりと意思を持ってミランダの力を奪ったのかもしれません。ローズの中のエヴリンの介入も考えられますけど示唆するものは何もないです。

 

推測2:イーサンが戦ったミランダはニセモノ

そして推測2

イーサンが戦ったミランダはニセモノ説です。

結論から言うと、変異ミランダはミランダの複製もしくは影武者で、クリスに保護されたミアこそが本物のミランダじゃないかって事です。つまり敗北は計画通りだった説。

 

結構突飛な説ですが、根拠となる違和感が2つあってそれが以下の内容。

1.絵本Village of shadowの結末

2.エンディングのミアが見せた謎の笑顔

 

1.絵本Village of shadowの結末

1からいきましょう。

イーサンに不気味すぎんか?と言われながらもミランダが頑なにローズに読み聞かせていた絵本Village of shadow。

f:id:Upolaris:20210527005834j:plain

感動的なエンディングシーンで流れるため誤魔化されがちですけど、これってどう考えてもミランダが用意したカバーストーリーです。なぜなら母親の都合が良すぎるからです。父親がいなくなり娘にとっての家族は母親だけという状態。

つまりミランダにとって理想のすり替わりのシナリオがこの絵本です。ローズがこの絵本を信じてくれるのがミランダにとって1番都合がいいというわけ。だから読み聞かせで刷り込もうとしていた。

実際のゲーム内の出来事を総括したメタメッセージの様にも取れますが、重大なポイントが違います。

それが子供の母親の行動。

クリスママとか揶揄されていますが、違和感が残るのはその通りで、イーサンがローズを託したのはクリスなんですよ。母親ミアではなく。

クリス越しにミアに遺言を残したと捉える事も出来ますが、「強くなれるように守ってやってくれ」って言ってるので完全にクリスに宛てたメッセージなんですよ。ミアではない。

 

だからVillage of shadowの結末はゲームの内容を示唆したものではなく、あくまでもミランダが狙ったシナリオと言えそうです。

父親が死に、愛で救った母親としてなり代われる事がミランダにとっての理想だったわけです。

クリスの介入がなくても、然るべきタイミングでローズを連れ去り、イーサンを亡き者にしようとしていたのではないでしょうか。

ところが前述の通り、ローズの力が強すぎたためイーサンを退けられずに夢半ばで退場...という結果に終わったわけです。

 

2.エンディングのミアが見せた謎の笑顔

ところが、もし最終決戦での流れすらミランダの想定通りなら、結構恐ろしい推測ができそうなんですよね。

それを感じさせるのが、エンディングのミアが見せた謎の笑顔です。

エンディング、ローズを抱きかかえたクリスを見たミアの表情。

指摘している人が少なくて意外だったんですけど、僕はかなり違和感を覚えました。

夫も娘も行方不明な中で、しかも生死も危うい状況でクリスがローズだけを連れて帰ってきたらまず、どう思うでしょうか?

リアクションは人によるとは思いますが「とりあえずよかった」という安堵の気持ちが最初に来ると思うんですよ。次いで夫がいないことによる焦り。普通のメンタルならこんな感じじゃないでしょうか。マイナスがゼロに戻るような感情の筈です。

 

ところがミアはどんな表情を見せたでしょうか?

 

f:id:Upolaris:20210527003924j:plain

めっちゃ笑顔なんですよ。

もちろん安心して顔がほころぶ人もいるでしょう。でもこの笑顔はどう考えても満面の笑顔。

よし!的な表情にしか見えない。安心する表情ってもっと力の抜けた顔じゃない?

 

まぁでもそもそもミアがまともな精神状態って7・8通してほとんど確認できないのもあるし、ミアって7から若干サイコっぽい性格だったしなぁ。感情表現も少し変わってる女性なのかなぁ?

なんて初回は見過ごしてたんですけどやっぱり強烈な違和感あります。

こういう満面の笑顔って安心というより目的を達成したように見えませんか?

ウィンターズ家は巻き込まれただけであり、明確な目的が存在するのはミランダだけです。一方的に捕まってたのが開放されただけでこんな笑顔になることあるんだろうか。

となるとミアに化けたミランダによる、絵本Village of shadowにおける母親役の完遂という構図が想起されるのです。

 

こうなると誰も居ない地下施設で1人幽閉されていたのも都合が良すぎる気もしてきます。直前にアンバーアイズが言っていたように、ミランダがミアを生かしておく理由は別にない、という会話が余計に引っかかります。

 

よくよく考えると、最終決戦で変異ミランダが勝ったところで、ミランダはローズにとって絵本の結末のようなローズの母親役になる事は出来ません。

変異ミランダはあくまでもローズをエヴァとして復元させようとしていた。

冒頭のミアに化けたミランダは、絵本の母親役になることを望んでいた。

変異ミランダとVillage of shadowを読み聞かせていた冒頭のミランダの目的は最初から一致していないようにすら思えます。

この事からミランダは2人いた、もしくは変異ミランダは影武者だった。と考えられそうです。

 

この説は仮に変異ミランダが影武者だった場合に、どうやって用意したのかとか、記憶はどうなってるんだとか、推測しようがないポイントもあります。

また、ミアに化けた状態のミランダと、変異ミランダが同時に活動している点もネックになっているわけですが、これはクローンのように自分の複製を用意する手段を持ち合わせていれば可能なように思います。

作中のミランダの言葉通りなら菌根ネットワークを用いてあとから記憶を同期させることも不可能ではなさそう。

もしその手段が確立されていたのなら、なんかおかしくない?っていうミアの態度については全てしっくりくると思います。

 

あと根拠としては弱いけど、墓参りにミアが来てないのも若干引っかかるんですよね。

 

追記:

今動画を見返したらクリスがミアを地下牢で見つけた後、アンバーアイズへの確認によりミアのことを本物だと認識した瞬間にもニヤッっとしてます。やっぱこのミア信用できないわ。

目線も下がってるし、一度上がった口角を下げようとしてるんですよ。安心感で見せる笑顔とはちょっと考えにくい。

f:id:Upolaris:20210527003629j:plain

 

まとめ

というわけで 、エンディングで感じた違和感を整理するとミランダはまだミアに化けてるんじゃないか?という説に行き当たりました。

ただしヴィレッジはストーリーを何度か大きく変えていそうな痕跡が見られるので、その名残と言われると、可能性は大きくありそうです。でも現状の映像だとこう捉えるのがしっくりくる気がします。

この考察内容が大きくピントがずれていないならイーサンが復活する可能性も少なくはない気がします。というか

非常に綺麗に終わった物語なので、初周クリア後はイーサン復活はあり得ないだろうと思っていましたが、周回を重ねるうちに別の可能性もあるように思えてきました。

所属組織との不和を感じさせる様子からもローズが順風ではないのは明らかであり、ローズ自身はまだ救われてないんですよね。ローズが幸せになる迄は物語が閉じたとは言えませんし、彼女が苦境であればある程、イーサンは戻ってきそうな気がします。

 

次回作はどうなるんでしょうか。今から待ち遠しいです。