あっという間に夜だ。
今日も一日が何も達成せぬままに終わる...。
タイムラインでは狂ったようにゲームをプレイし、感想ツイートやクリアツイート、トロコンツイートが溢れかえっている。世は正にゲーム進捗報告会の様相を呈している。
◆
しかし、仕事が終わって疲れ果てているあなた。
コンビニ弁当をレンジで温めながら惰性でSwitchを起動してみるが、さて何をしようか。
これからRPGをやるには時刻的に少し辛い。スマブラをプレイするような元気も無さそうだ。
そんなことを考えていたらレンジがピーピー鳴き出した。
今日はもういいかな...。テレビでも付けるか...。
そんな経験、誰しも一度はあるのではないだろうか。
そんな日は一旦、Switchをスリープしコンビニへ行こう。
酒を買うのだ。
買ってきたら一杯煽りつつ、再びSwitchを起動。
そして、eShopで『Lofi Ping Pong』をダウンロード。
何も考えず起動しよう。
とても軽いソフトだ。すぐに起動するので、何も考えず「ストーリー」を押せばいい。
後は流れに身を任せて。
黙々とピンポンするだけだ。
システムはこれ以上ないほどにシンプル。
左・中・右に打ち分けられる球を、3つの対応するボタンで打ち返すだけだ。5秒で覚えられるルール。
だがしかし、それだけにしては、雰囲気が良い。
タイトル通りのメロウなBGM。メトロノームの様なミート音。
ちょっとした睡眠導入アトモスフィアすら感じさせる。
マイアミリスペクトな闇を醸す動物頭のドットキャラも、余計な事しか言わなくていい感じだ。気分悪く酔えそうだ。
これだけシンプルだと作業感を感じそうだが、ゲーム性はしっかりある。
急角度カーブ、消える魔球、増える魔球。敵の球種はオプションで設定可能だ。
ストレート球に歯応えがなければいつでも挑戦すればいい。
球種を設定したら次はBGMだ。タイトル通りにLofiな楽曲が用意されている。
楽曲数は多いとも少ないとも言い難い、ちょうどいいくらいの数が用意されている。
決して多いとは言い難いが、ちょっと考えてみてほしい。楽曲数が無闇に多いことが本当に良いことなのだろうか。
例えば『VA-11 Hall-A』には大量の楽曲からその日に掛ける楽曲を全て指定する機能があった。
なまじ名曲ばかりなので、プレイヤーは毎日非常に頭を悩ませたものだ。
もはやその思考コストは業務と言っていいもの。楽しいが大変な作業である。
仕事終わりの疲れた頭脳には少し辛い。
反面、Lofi Ping Pongには「ちょうどいい」くらいの楽曲数があり、その雰囲気も概ね統一されている。
バッサリ言ってしまえば、どれも似たようなイメージの曲なので悩まず適当に決められる。
曲を決めれば後は黙々と、ラリーを続けるのだ。
4回ミスするとリトライになるが、心配しなくてもいい。ペナルティもなく即刻リスタートする。語弊を恐れず言えば、別にクリアしなくてもいい。
そこに酩酊の流れを阻害するような無粋な物は何もない。
休みたくなったらいつでも試合を止めて、アルコールやつまみを楽しもう。マイペースに。
ここには義務感や困難などは何もない。
心ゆくまで空気に身を任せてピンポンを楽しめばいい。
だってどうせ最後には
負けることになるんだから。