プレイ時間は大体50時間くらい。
クリアまでは40時間弱でした。
サブクエの消化具合によって大きく変わるゲームなので時間はあんまりあてにならないです。早い人なら30時間掛からないと思う。
けど可能な限りたっぷり時間を掛けてクリアするべきゲームだと思います。
未クリアの人はネタバレ踏まないように重々気をつけて。
時間がない人はまとめを読んでもらえれば大体書いてあります。長くなりすぎた。
ストーリーとあらすじ
デス・ストランディングという現象により、アメリカは各都市に分断されてしまった世界。
”伝説の配達人”サムは大統領にアメリカを再び繋ぎ直すという依頼を託されます。
都市は分断されているので必要な物資を都市から都市へ運んだり、各都市をカイラル通信と呼ばれる超高速通信網により繋げていき、最終的にはアメリカ全土を繋ぎ直す事が彼のミッションです。
序盤は謎が謎を呼び続ける展開なので、人によっては退屈かもしれないです。ですが、後半の畳みかけはゲーム以外ではやれないだろうな、と思えるものになっているので序盤で興味を失って読み飛ばすのは勿体ないです。
どんなゲーム?
不便な事や面倒な事をスパイスに、困難な配達をクリアしていく達成感を味わえるゲーム。
登山が好きな人はめちゃくちゃハマると思います。
アクションの操作面でだけ言えば「メタルギアソリッドV」が近いですが、ステルスゲーム以上に戦闘を避けるデザインになっています。
そして後述するモーションの豊富さにより手触りは全く別のもの。
一部ボス戦はお約束的に用意されているものの、ゲームのメインは配達のための移動やインフラの整備。
ストーリーは好き嫌いはあるもののシンプルに超上質。
お使いゲーではありますがその道のりを、快適に効率よく最適化するためにインフラを整備していくシミュレーション要素や、道中のストーリー、難所を切り抜けた際に不意に訪れる絶景ポイント、バリエーション豊富なサブミッションなどの要素がうまく噛み合い一言では言い表せない達成感と中毒性があります。
そういったゲームシステムに加えて、ソーシャルストランドシステムというゆるい他ユーザーとのオンライン要素が上手く合致しており、いいね!を貰うために自然と他のユーザーの為に使いやすい建築物の配置を考えるようになったり、ちょっと多めにいいね!を押しておこう、と思えるように作られいて、上手く善意のサイクルが回るようなシステムが練られています。
面白い?
いいゲームかどうかと聞かれればすこぶるいいゲームだと即答できますが、面白いかどうかはこのゲームに何を求めるかによって大きく評価が変わるのでかなり答えるのが難しい。
向いてそうな人は以下のような感じ
- 登山が好きな人
- オンラインは苦手だけど寂しがり屋
- ロールプレイが好き
- 人の足を引っ張り続けるネットの文化にそろそろ辟易してる
- オープンワールドの風景を探索するのが好き・壁際を確かめたい
半分くらいゲームと関係なくね?って気はしますが実際そういうメッセージ性が強い作品なのでウォーキングシミュレータ的なゲーム性だけを求めるなら不要な要素が多くて、純粋に楽しめない可能性が高いです。戦闘もつまらないとは思わないですが、それを目的にするならもっといいゲームがあると思います。
反面、総合的なメッセージ性に共感できるなら、ストーリー、キャラクター、ゲーム性、オンライン要素が全て一体となって畳みかけてくるので非常に楽しめるでしょう。
賛否両論あるゲームなので、いい点、悪い点、それぞれに分けて書いていきます
賛否の無い明確な欠点
こちらは改善してほしい部分と明確にダメだと感じたところ。
小さくて見にくいUI文字
アップデートで改善されることを期待したい。
数少ない明確な欠点。
40型でプレイするようになってから文字が小さいと感じる事はなかったんですが、デスストはキツかったです。
特にミッションのブリーフィング画面は情報量が多いので、プレイに支障が出る部分。細かいことを気にしなければ問題ないですが、やりこみ勢にはかなり辛いと思う。
ブリーフィング画面に関しては見るべき情報が小さい所に固まっていて、UIとしてもあまり良いとは思いません。視線誘導も下手。
反面、セリフの字幕は大きく読みやすかったです。この位だと文句ないんだけどな。
スキップしにくい細かすぎるムービー
休息をとるためのプライベートルーム中のアクションや、ミッション達成時のリザルトなど、プレイ中何度も繰り返し見るようなシーンのムービーが長め。
スキップの仕様もあるのですが、ワンタッチでスキップ出来ない。
一つのムービーを飛ばすのにストップ→右→〇ボタンといくつもの操作を要求されます。その上、細かいムービーが2・3組み合わさっているシーンが多くスキップに何度も操作を要求されます。
細かい事の様に思えますが、何度も繰り返し見る事になるシーンなので、徐々にめんどくさくなってくるのでここも改善してほしいです。
終盤のあまりにも長大なカットシーン
シンプルにムービーが長いシーンが多いってのもあるんですが、問題の本質的な所は物語の語り方が海外ドラマに近い部分があるって事です。
終盤、ほぼエンディングと思しき所からの映像部分がこれまでのゲームでは考えられないほど長いです。
個人的には長くてもストーリーに引き込まれて一気に見てしまったのですが、これが称賛されるのはあまり良くないと思っています。
ムービーが長いと言ってもプレイアブル部分はところどころに存在しますし、一定のタイミングでプレイを中断するタイミングはあるのですが、オートセーブ制により止め時を意識させにくい構成になっています。
しかも物語がまるで海外ドラマかのような、かなり強めのヒキで区切りが来るのでぶっちゃけ途中で止めさせる気がない作り。
それだけ聞けば面白そうだし別にいいじゃんと思うかもしれませんが、ざっくり言えば短くても3時間位は拘束されるつくりになってるので、こんな作りのゲームばっかりじゃ社会人は疲れて離れて行っちゃうよ、って感じました。
ゲームって、普通に娯楽として遊ぶ人にとっては少しずつ長期的に遊ぶモノなんで、ぶっ通しで長時間やることを前提にするべきじゃないです。
賛否ある部分
こちらは人によっていいとも悪いとも感じられる部分。
めんどくさいは楽しい
普通なら意図的に排除されることをリアリティでもって楽しさに変えている点がこのゲームのポイント。
リアリティを支える豊富なモーションと慣性制御
山登りとか、スキーやスノボーを体験したことある人ならわかると思うんですけど、山を滑り降りるときの重心の浮き方とか、岩場に躓いたときの体のよろめき方など、細部の動きに非常にリアリティがあります。
重心の慣性の効き方がリアルなので本当に荷物を運んだり、山を登ってるような気持ちになってきます。
重量によってよろめき方の激しさも違うし、体の動かし方一つ一つのフィードバックが凄く生々しい。
そういうモーションってカッコよくないので、本来ゲームなら省略されるべき動きが大半だと思うんですよね。
荷物の物量や躓く方向、バイクに乗る方向など、ありとあらゆるところで自然なフィードバックがされるようにバリエーション豊かなモーションが用意されてます。
ただ歩くのが楽しいっていうゲーム性の根幹はここの仕事がかなり大きいです。
荷物を落とすと悲惨
川で流されたり、躓いてコケてしまうと気持ちいいくらい周囲に荷物をぶちまけてしまうのでとっても悲惨です。
周囲に散らばるだけならまだいいですが、大事な荷物が斜面を転がり落ちて行ったり川に流されてしまうと目も当てられません。当然拾いに追いかけなければいけない訳です。つら。
ただ、こういう経験をするからこそ荷物を落とさないように重心に気を付けるし、危険を冒さないように慎重にルートを選ぶ面白さに繋がっていく訳です。
痛みを知ってるから他のプレイヤーに優しくしようかなと思う選択肢が出てくる。
インフラを徐々に整えていく充実感
序盤は悪路をひたすら徒歩で走破するしかなく、達成感はあるものの耐えるプレイが少なからず多くを占めています。
ある程度進んだ辺りから、バイクやトラックなどの車両が選択肢に加わってきます。
ところが車両は悪路に極端に弱く、そのままではとても快適に配送できないので、国道を整備してインフラを整えていく事になります。
国道が開通すると車両はとてつもなく快適になるのですが、必要資材が多く一人で全て開設していくのは至難の業。そこでソーシャルストランドシステムが効いてくるのです。僕の場合は、最初の国道を開設した後ストーリーを進めていたら、戻ってくるたびにどんどん国道の距離が伸びていて、他のプレイヤーと協力してインフラを整えているワクワク感を強く感じました。序盤のソーシャルストランドの面白さは国道開設にあると思うので、ぜひ積極的に一つ作ってみてください。
それから後半になって、車両がなかなか通用しない山道を登っていく事になるのですが、この辺りで解放されるのがジップライン。山道でも地形を無視して一気に飛んでいけるので終盤はこのジップラインのインフラをいかに整えていくかが配達を効率よく進めていく為のキモ。
とは言うものの、ジップラインを山道に敷設していくのって大変なんですよね。ただ配送するだけなら歩いて行った方がリスクが少ないんですけど、「ここにジップがあったらなぁ…」なんてところに設置できると大量のいいね!が飛んできたりするのでよっしゃ頑張るかぁと思わせられるのでよく出来てます。
この瞬間の為に生きとる。
ステージとしてデザインされたオープンワールド・道中を彩るメリハリ
脅威となる妨害要素ミュールとホラー要素・BT
ノウハウやインフラをどんどん整えて配達が作業感になるのを防ぐため、配達を妨害する要素がいくつかあります。
それがミュールとBT。
ミュールは配達依存症に囚われ、人の荷物を奪うために襲ってくるという集団。
彼らは妨害要素であると同時に貴重な資源を持っていたりするので終盤はサムに狩られる側に成り下がりますが、序盤は道中を脅かす脅威として存在しており、配達の困難さを盛り上げます。
BTはあの世と繋がっている幽霊のような存在で、アメリカが分断されたのは彼らの存在が原因。サムを見つけるとあの世に引き込もうと手を伸ばしてくるホラー要素。
捕まるとキャッチャーという怪物の臍帯で足を掴まれ、タールまみれのあの世に放り込まれるという下手なB級映画よりも恐ろしい演出でボス戦に。
彼らの存在で配達の緊張感が一気に高まりメリハリに貢献しています。
峠を越えたときの安心感・ボーカル曲
そうした大変な配達の峠を越えて、次の目的地が見えたタイミングでボーカル曲が掛かる演出があるのですが、達成感と安心感に説得力があって個人的には非常に好きな演出です。
選曲も違和感なく非常にマッチした楽曲ばかり。
若干押しつけがましいとも捉えられる演出ではあるので、ここは好みに寄るかもしれませんね。
明確な美点
報酬足りえるレベルのグラフィック
とにかくどこをとってもリアルで綺麗なフィールド。
これについては動画で見れば異論を唱える人はいないはず。
起伏に富んだ山道や、広大な荒れ地、険しい雪山。
探索好きな人はミッション以外でも色々回りたくなると作り。
苦境を乗り越えたときの綺麗な風景はそれだけでご褒美になる映像美です。
個人的にすごいと思ったのは雪山のホワイトアウト具合。
あ、これガチで遭難するわ…って本能で理解しちゃうレベルでめちゃくちゃリアル。
このグラフィックで雪山登山シミュレーター作ればそれだけで売れると思うんだよな~。
SNSをポジティブな暖かみのあるゲームデザインとして完璧に落とし込んだ
いいね! は自分で押さなくても施設を利用すると相手に届くので押す必要はないんですが、欲しい所に欲しい梯子が置いてあったりすると、押したくなるのが人情というもの。
実際に追加でいいねを押してくれる人結構多いです。
でもやっぱり需要の無い所に適当に設置してもいいねはこないので、自然と「もっと役に立ちそうなところに置くか…」と他のプレイヤーの為になる配置を意識する作りになっています。
ストランド契約という優先的に繋がりやすくなるシステムがありますが、これに関してネットで見つけた耳寄り情報を一つ。
自分が助けてもらいたければ自分より高ランクの人を、いいねを貰いたければ自分より低ランクの人を契約すればそれぞれ需要が満たせるよ、とのこと。
こういうところまで意図して作ってあるのだとすれば大したものです。
SNSと違って上手い点はネガティブなつながりを排除することで、純粋に貢献しあうことにより承認欲求が満たされていくゲームシステムに落とし込んだところ。
これってすごい事です。
「うまくやれば」社会はもっとポジティブに回るんだよっていうメッセージを、口で説明するのではなくシステムで理解させるという作り。これをゲームで出せたことは価値のある一つの発明と言っていいと思います。
新規IP・新ジャンルにもかかわらず見事に調整されたバランス
配達をして各都市を繋げていくというウォーキングシミュレータ―部分、
分断されたアメリカという挑戦的なストーリー、
見たことのないビジュアルと世界観、
ソーシャルストランドシステム、
SNSに対する強いメッセージ性などなど…
新規IPに関わらず挑戦の塊のようなアグレッシブな要素だらけの中、ここまで破綻なくシステムとストーリーをまとめ上げ、ゲームとしてもクオリティが高いのはほとんど奇跡。
それとゲームの内容に関係ないのでレビュー部分には書いてませんが、要素の省略や開発コストの省エネがあまりにも上手くて、小島監督はやっぱりゲームクリエイターとして天才なんだなと思いました。
メタルギアシリーズでも感じてましたが、本当に少ない素材で広大な世界を表現するのが上手。
まとめ 9.3/10 気になったらとにかくやるべき
- 動画では面白さは絶対に分からない
- いいね!をやさしさで回すゲームデザイン
- グラフィックとモーションの質は凄まじい
- 物語とキャラクターは素晴らしいが、語り口があまりにもクドい
ソーシャルストランドシステムが素晴らしすぎるので本当はもっといい点数にしたかったけど、時間が限られる社会人を無視したとんでもなくクドいムービーが足を引っ張った(-0.5)。個人的には最後まで楽めたけど、誰もがいつまで続くか分からないムービーを何時間も見れるとは限らない。据え置きゲームはタダでさえ長時間を消費し付き合うコンテンツなので、質さえよければユーザーの時間を軽視してもいいという姿勢には賛同できない。
これはあくまでもストーリーテーリングの問題であって、物語自体は素晴らしいです。
いわゆるエアプ勢と呼ばれる人たちがいて、実況動画を楽しむ分には認められるべき文化に発展したと思っているけど(自分も見ますし)、このゲームに関してはムービー部分だけを見てゲームの楽しさを理解したような気になってはいけない。百聞は一見に如かずではないが、触って体感するのと見るだけとでは体験に雲泥の差がある。実況動画を通して見るのは実況者のストーリーであってゲームのストーリーとは全く別のもの。
ソーシャルストランドシステムは、愛というには大袈裟だけど、ちょっとした優しさのようなものを思い出せる暖かみが感じられ、テーマも含めて本当に素敵な社会実験だと思う。
今後語り継がれ続けるだろうし、様々なジャンルのゲームに多くの影響を与えるだろうけれど、これは小島監督以外に容易に真似ることが出来ないバランス感覚でしょう。そういう意味でこのシステムはオーパーツ化する様な気はしている。
ちなみに時雨シェルターは絶対Pop Virus掛けちゃう。
世界観に合わなさそうで意外なほど合うんだよね。めっちゃいい曲なんだこれ…。
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