南極ゲーム観測所

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【ASTRAL CHAIN アストラルチェイン】クリア感想&レビュー(ネタバレあり)~ゲームでやる平成仮面ライダー

ストーリーに期待しなければ最高の高難度アクション

拮抗でシナリオクリアしました。サブイベントはちょこちょこつまみ食いで30時間くらい。

スポイルしないよう気を付けてますがネタバレ全開なのでお気を付けください。

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ゲームでやる平成ライダー

突如現れた異世界からの未知の侵略者。その未知の世界の技術を利用して対抗する特別組織。

ところが唯一の希望たる部隊は壊滅し、もはや戦えるのはおのれ1人。

…といういかにもなコテコテ設定で、特撮好きなら絶対燃えるシチュエーションのオンパレード。演出もベッタベタだけど熱い展開が多い。ちょっとプレイしてみて思い浮かんだ感想がゲームでやる仮面ライダー(しかも平成初期の重たい方)でした。

 

世界観は近未来サイバーパンク。ネオン煌びやかな街はアクションが映えます。舞台となる人工島アークは人類最後の砦なので結構追い詰められてるはずなんですが、そこそこ規模がデカいのか街は明るくキラキラしててビジュアル上での絶望感は少ない。

この辺りのビジュアル重視な感じの舞台設定も特撮感あります。

 

純粋なアクションではなく、アクションを軸に進むRPG

ジャンルとしては純粋なアクションというより、アクション+RPG。

章クリア型で、各章ごとに捜査パートとアクションパートに分かれています。

捜査パートはアクションパートに進むためのキーワードを集めつつ、合間でミニゲームやクエストをクリアしていく事になります。

本編のアクションが面白過ぎて、はよ次いかせてくれ!って思いながらプレイしていたので個人的には捜査も探索もあんまりでした。探索要素って個人的には大好きなんですがシナリオの緊迫感とイマイチ噛み合ってないです。あんなデカくてヤバいモンスターがうろついてるのに猫探ししていて大丈夫かしら。

各章において2時間前後くらいのプレイ時間がかかるのに対し、セーブが章の最初にしか出来ないのも痛い。この比重であれば区切りがシームレスだった方がワクワクが持続したんじゃないかと(おそらくテレビ番組を意識した構成だとは思いますが)。

これらの構成からストーリーの進行はアクションにしては結構ゆったりです。腰を据えてやるプレイスタイル向き。

 

シナリオは大味 ゲーム的な演出を繋げそこなった

シナリオに関しては、かなり大味。

整合性に突っ込みだすとキリがなさそう。

結局主人公とアキラが何者だったのか言及ないし…。

キャラクターのセリフも大人しか居ない物語のわりに直情的なセリフが多く、小粋な言い回しや思いやりからくるすれ違いなどはなく、子供っぽい喧嘩の様な争いがほとんど。

厳密に言うとシナリオは大味でも良かったけど、テキストはもっと地に足が付いたものにしてほしかった。特に割りを食ってそうなのがヒロインのアキラ。終盤まで兄(姉)にキレ散らかしてるので最後にお兄ちゃんって呼ばれてもいまいちグッと来なかった(シナリオで演出したかった意図は読み取れるが)。

そういう大味加減まで特撮ライクにしなくていいのに…。

またラスボスへの全レギオンでのトドメ5連発がビジュアル的にめちゃくちゃ燃える展開だっただけに、レギオンと主人公の関係性の掘り下げがされていなかったのが勿体なく感じた。直前のシーンでも、守ってくれたアックスレギオンに義父マックスがちらつくカットがいまいち感動を誘えないのも同様の原因。

無二の相棒として描くのか、家族の写し鏡として描くのかが中途半端だったので、いい演出っぽいけど、なんか惜しい。

全体的にいいシーンや映えるシーンが満載だっただけに尚更、シナリオ面が今一歩繋がってないのが目に付く、というのが正直な感想。

このうちのいくつかは探索をしっかりやれば見つかるのかもしれないが、探索にそこまでの吸引力は無かった。

キャラクターに関しては一番好感を持てたのがジェナなので多分根本的にテキストが失敗してると思う。彼女は徹頭徹尾嘘言ってないし悪者に見えない。

 

革新的で爽快感のある二身一体アクション

ただ、前述のそういった不満をすべて吹き飛ばすほどアクションはカッコいい。そして気持ちいい。

ジャンプが出来ず、人によっては若干もっさり感を感じるかもしれないバランスだけど、操作性の悪さからくるもっさりではない。

アビリティを覚えてプレイヤースキルが上がってくると、サクサク回避しまくれてゴリゴリにカウンターコンボを決めまくれるようになるので派手さも爽快感もある。

 

攻撃方法が差別化された5体のレギオンと呼ばれる相棒を適宜チェンジしつつ戦う訳ですが、イメージ的にはスタンドに近いかも(見た目はペルソナっぽいが)。最終的にはライダーのフォームチェンジみたいに戦闘中ガンガン入れ替えつつ戦う事になります。

このレギオンもプレイヤーが操作する事になるので、操作自体は慣れるまでかなり複雑で難しい。ただボタン配置が直感的に上手く配置されているので、慣れてくると見た目より複雑な動きがどんどん出来るようになってきます。

 

また、レギオンと主人公を繋ぐ鎖を使ったアクションも特徴的なポイントで、鎖を敵に巻き付けると一定時間拘束したり、レギオンに引っ張ってもらうことで長距離ジャンプや高速移動の勢いで敵を吹き飛ばすことが出来る。

レギオンと主人公をバラバラに移動させることがうまく出来るようになると自由自在に緊急回避したり雑魚をまとめて吹き飛ばしたり…今までにない新しいアクションなのに既に完成度が高く練られていて楽しい。

 

落下ペナルティはニーアからの退化

但し、落下ペナルティだけは擁護しようがない要素。

テンポ重視のゲームで落とさせまくってどうするというのか。

しかも異様に落下ペナルティのダメージが多いし、これをラスボスの前座で入れるセンスはどうかと思う。やるにしても判定を甘くしたり引っ掛かりに融通利かせたりいくらでも調節出来るのに何でやらないんだろう。ニーアでできてたからわざととしか思えない。

戦闘がやりたくてこのゲームを手に取るのに、落ちてダメージが蓄積されていくことがストレスでしかないことが何故わからないのか疑問。

 

やりこみ前提のボリュームだが周回は出来ない

クリア後の世界ではやりこみ要素として追加ミッションを受注できるようになります。

やりこみ上等の高難易度ミッションがいっぱい出てくるのはいいんだけど、主人公の性別を変えて周回したいのに実績を引き継いでニューゲームがない…。

探索要素埋めながら2周目やろうと思ってたのに残念。確かに最初のチャプターから性別変えてやり直せば出来るけどそういう事ではなくて…。

男女主人公に関してはローコストでできるアピールポイントを無理やりひねり出したように感じて、やや配慮が足りてない。

衣装を変更できるのは楽しいけれど、キャラメイク部分はモブキャラのありものの髪型にとっかえ出来るだけでしかない。

 

まとめ 8.6/10 シナリオの深みが今一歩足りないが、アクションも演出も凄まじい

文章のバランス的に滅茶苦茶こき下ろしたみたいに見えるかもしれませんが、アクションの爽快感で全て吹き飛ぶレベルなので、評価的にはかなり高めです。

なまじアクション面や、ムービーなどの熱い演出が半端なく良かっただけに他の要素での可能性を感じて色々言いたくなってしまいます。

スタイリッシュなアクションががやりたいなら迷わず選んで大丈夫。

 

ASTRAL CHAIN(アストラル チェイン) -Switch

ASTRAL CHAIN(アストラル チェイン) -Switch

 

19/12/1 追記:他のレビューとのバランスで点数調整しました 8.1→8.6