switch版レイジングループ クリアしました。
暴露モード含む全ED視聴済み。エクストラのみ未読。
レイジングループとは
限界集落である休水に迷い込んだ男、房石陽明は黄泉忌みの宴と呼ばれる殺人儀式に巻き込まれる。何度も命を落としてしまうが、その度に村に迷い込んだ日に蘇ってしまう…。
…という導入から始まるループもの&人狼デスゲームのアドベンチャー。
黄泉忌みの宴と呼ばれる儀式が人狼を模していて、処刑=本当に首つりさせるという恐ろしい儀式が因習として現代まで残っている。舞台となる休水では濃霧が出るとこの宴を行わなければならない…。
大変楽しかったです。メインルート1周目が終わるあたりから急激に続きが気になり、一気に読んでしまいました。
オーソドックスな選択をひねったADV。KEYと暴露。
・読む順番を自然に誘導するKEYシステム
レイジングループのゲーム性を説明する場合に特徴的な点としてはKEYというフラグシステムがあります。
このKEYはバッドエンドで回収できるフラグのようなもので、回収しておくと次周回時に選べなかった選択肢がオープンになっていくわけです。
このKEYを使ってバッドを繰り返しながらいいエンドを目指すのがシナリオの大枠ですね。
中には複数のKEYが必要な選択肢もありますが、基本的には簡単な謎解き要素が付加されたサウンドノベル、というイメージ。
・シナリオを俯瞰できるチャート機能の充実
シナリオの全体図を確認できるチャート機能が分かりやすくまとまってて、必要なKEY自体も大体予想できるのであまりここで躓く要素はなさそう。バッドエンド後のヒントコーナーも要らないかも、と思ったくらい(ヒントコーナーは暴露モード時のネタバレがメインですね)
しかしKEYによる捻りの部分はゲーム性と呼べるほどのものではなく、選択肢の順番をある程度統制させる意味合いでのシステムなのかなぁというのが正直な感想。
ただゲーム性が薄いから面白くないという事は全くなく、むしろゲーム的な謎解きが難しくない分ストーリーに集中できるのでこれでいいのだと思われます。
・読み味が180度変わる暴露モード
クリア後の暴露モードも斬新で面白かったです。
こちらはキャラクターの内面の心情が本編シナリオの間に挿入されるというクリア特典。
黄泉忌みの宴での戦略面の補足がメインなのかな~と思いきや、キャラの内面描写と新情報がバンバン出てきます。おまけというよりも真の2周目とも言うべきメインストーリーでした。テキストの追加が違和感なく挿入されて成立しているのも新鮮で感心しました。
田舎特有の閉鎖的な空気感&時代錯誤な因習を人狼ゲームに結び付ける発想が見事
人狼自体はふわっとしたルールしか知らなかったんですが、全く問題なかったです。
儀式のルール説明がとても丁寧でした。
ただ、人狼の知識がある人でも”自分が絶対に死ねない”縛りがあるので通常の人狼との違いを楽しめそうです。
主人公が頭のキレるので、進行がサクサクなのもよかったです。
宴に参加するメンバーが主人公の行動により変化し、その度に宴の展開もガラッと変化するので、都度新鮮であまり中だるみせずにクライマックスまで読めました。
ジャンル的にはデスゲーム&ループ&伝奇もの?
死に戻りのみを舞台装置として活かす感じかと思いきや、想像以上に伝奇もの、怪奇ものとしての側面も強いシナリオでした。かみさまはいます。
割と超自然的な存在を許容する世界観なのが意外といえば意外でした。もっと推理で解き明かしちゃうのかと。個人的にはこの位のバランスは好きです。
とは言ってもエクストラの補足はちょっと蛇足だったかな~という印象でした。春ちゃん周りとか、はっきり定義づけされなくてもおおよその匂わせ方で想像できる方が好みかなぁという感じ。前作DMLC絡みのファンサービスなのかもですが。
サウンド面について
・BGMがいい仕事
BGMも前面に主張するタイプではないながらも、長考を促したり、焦燥感を煽ったりと地味ながらめちゃくちゃいい仕事してたと思います。
・コンシューマー/PC版はフルボイス
遊んだswitch版はフルボイスでした。この物量をフルボイスは気合入ってますね。
アクターの演技は正直なところ上手いとは言えない人が多かったですが、あまりアニメアニメしてない声質が多くて、ある意味で世界観にマッチしていたと思います。
特に主人公。若干の抑揚の足りなさが、後半露呈する主人公の危険さにしっかりハマってたかと。
・音量調整はちょっと残念
ただ、音量調整面が製品版とは思えないレベルでミスしているので要注意です。
特にヒロインが聞こえないくらい小さい時があり、あまり見ないレベルで酷いです。
フルボイスで完全版として出すのであればここはしっかり監修してほしかったところ。
まとめ 8.7/10 ループものジャンルとして超上級のストーリー
- 人狼を知らない人も知ってる人も楽しめる
- 死に戻り・伝奇もの・デスゲーム
- ゲーム性は薄いけどストーリーに集中できる&吸引力が強い
- クリア後の暴露モードは本編
- 続きが気になり過ぎるので連休前に始めよう
最後にネタバレ感想↓
キャラクターについて
回末 李花子
李花子さんはまあ黒幕ではあるんですけど、血統に縛られた被害者の側面もありゴリゴリに体張ってるので、愛おしい悲壮感漂うキャラでした。
最初に媚び媚びのリアクションを見たときは、うわちょっときっつ…と思ってしまったけど、黒幕が発覚した後の方が魅力的に見えるという不思議なキャラクター。
トゥルールートの悪墜ちスチール見てもあんまり嫌悪を感じなかったどころかむしろ可哀そうに感じるクライマックスでした。なんなら陽明は李花子さんにほんとに付いていくのかと思ってました。逆に2周目ラストは違和感凄かったです。
芹沢 千枝実
千枝実ちゃんもいいキャラしてましたね。
クリア後のおまけ暴露モードでガンガン株を落としまくる稀有なヒロイン。
ツンデレとかでない真の暴力系ヒロインと言えそうです。
2周目は中盤で千枝実ちゃんが人狼なの分かったし、最初のクイズで殺意が仄めかされてるのも伏線かなぁ程度に思ってたので、ああ人狼になると誰でも狂っちゃうのかな~。なんて考えてたら1周目からぶっしゅぶっしゅ殺す気だったのは驚いた。
まああれだけループしてたらおかしくなるよね。それはそうとあの2人、3か月後とかに普通に別れてそう。でもその方がらしい感じする。
巻島 春&かみさま
最後に一番のお気に入りの春ちゃん。
最初モブっぽいとか思ってごめん。
両親を失った重すぎる境遇とかじいちゃんに対する葛藤とか悪に対するあこがれとそこからくる背伸び感とか思春期特有のものとそうでないもののあれこれが濃厚に詰まった魅力的なキャラでした。
貉のかみさまも同率一位でお気に入り。
口調が好き過ぎる。のじゃろりに弱いんかもしれん。
あのセクシーな衣装は洗濯ちゃんとしてるんでしょうか?洗ったらボロボロになりそうだが。
結局かみさまが春ちゃんの騙りなのか、”本物”が降りてたのかについては、どっちも正解という事でいいんでしょうか?
始めは騙りだったのに、泰永とモッチーという鑑が休水の遺伝子に残る記憶と結びついたことで神に成ってしまった。と解釈してるのですがどうなんだろう。エキストラの補足情報見るとかみさまという概念自体がジンクスで説明できてしまいそうですね。
最後に一番好きな春ちゃん貼っときます。めっちゃいいスチル。
いやー楽しかった!ケムコさんのノベルシリーズで前作にあたるD.M.L.C.も
近い内にやりたいですね。